●バックグラウンド



彼女が渇望する、自由の象徴。




空を覆い隠すもの。彼女の恐れるもの。



マインド・リンク・システム
無人兵器の統率性と有人兵器の応変性を両立させるため、帝国空軍が提唱した兵器群統率システム。
テレパシー能力者をパイロットとし、精神感応を用いて複数の無人兵器を同時に制御すると共に、
各機体の行動から得た情報をパイロットの脳に直接フィードバックさせることで、
無人兵器群をまさしく盤に並べられた駒のごとく、広範な、客観的な視点から直接的にコントロールすることが可能となる。
パイロットの意思は無人兵器の意思となり、無人兵器が見たものはパイロットの知見となるのである。
しかし実用レベルの機体数を操るためには相応の精神力が必要であり、また、
無人兵器のそれぞれから送られてくる大量の情報を瞬時に脳内で整理して戦況を把握できるような高い知能も要求される。



コマンダー
マインド・リンク・システムにおけるパイロットの負担を軽減するため開発された補助機構。
単純な人工知能を保持しており、パイロットが編隊を構成したいと念じれば
その命令をコマンダーが肩代わりし、機体のそれぞれに逐一指示を送る必要なく
編隊を構成してくれる。編隊に対する指示はすべてコマンダーを介して行えばよいので、
2、3機のコマンダーで数十機の無人機を操ることも可能である。
しかし機体が増えるにつれてフィードバックされる情報量も膨大になるという問題は残る。



EAM-01P エングラー
帝国空軍にて開発中の次世代戦闘兵器。マインド・リンク・システムの中核をなす機体。
パイロットの精神感応力を増幅すると共に、各コマンダーから転送される情報をある程度整理統合してパイロットに受け渡す機能を持つ。
無人兵器を指揮するための情報処理中枢的な存在の機体だが、単体での攻撃能力も驚異的なまでに高く、
特に腰部に搭載された大出力ビーム砲は戦艦の主砲に匹敵するほどの威力を持つ。
未だ開発中の段階であり、パイロットの訓練を兼ねた機体テストが行われていたが、そのテスト中に謎の暴走を起こす。
本作でステージの最後に待ち構えるボス。



EAF-06 ロフタラス
帝国空軍の誇る主力兵器。火力よりも機動性を重視して設計されており、
障害物のほとんど存在しない空中戦においては、空間と速度を最大限に利用したヒット&アウェイは敵にとって大きな脅威となる。
また人型である形状を生かし、用途に応じて様々な武装を使い分けることができるというのも主力兵器たる所以である。
本作でプレイヤーが操る機体。



EG-04 ミスト
エングラー専属テストパイロット。軍の研究施設で遺伝子改造を施され、
生まれながらに強力な状況認知力、反応速度、テレパシー能力を得た少女。
過去のエングラーパイロットはすべて、機体の要求する膨大な精神負荷と、
とめどなくフィーバックされてくる情報量に耐えられず次々と発狂していったが、
彼女だけは(まだ多少の苦痛は見せるものの)比較的良好な適応性を見せており、周囲の期待も高い。
しかしこの世界では人間に対する遺伝子改造は地球規模で禁じられているため、
世論の反発を危惧して彼女の存在は軍の研究施設内および彼女の所属部隊にのみ知らされるに止まっており、
外部に対しては完全に隠匿されている。
そのため彼女は一生のほとんどすべてを研究施設内とエングラーのコクピットの中で送ることになる。

窓のない部屋で目覚め、コクピットに乗り込み、研究員の監視のなか休みなくテストを繰り返す毎日。
自室とコクピット、共に白い天井が視界を覆い尽くすだけの日々の中で、次第に彼女は精神を消耗していく。
そんな中、訓練中に無人兵器のセンサーから時折流れ込んでくる「青空」の映像に、心を惹かれるようになる。
澱みなく広がる青空に自由を見出し、その広さ、純粋さを脳内に「感じる」ことに彼女は唯一の安らぎを求めていった。
だが彼女は青空を手に入れることはできなかった。
彼女がコクピットに乗るときは、常に束縛と圧迫と監視が彼女を支配していたのだ。
コマンダーにより軽減されているとはいえ、膨大な数の無人兵器群を操ることもパイロットに過酷な負担を課す。

白い雲が青い空を覆い隠したその時、彼女はコントロールを失った。



――― 本空域にて演習中の新型試作機パイロットが我が艦に対し突如造反を開始した。
現在、周辺に展開している無人戦闘機はすべて彼女の強力な精神感応の支配下にあり、我が艦はこれらの攻撃に曝されている。
また、試作機には戦艦の主砲に匹敵する大口径ビーム砲が装備されており、一射目は何とか直撃を免れたが、
本艦の攻撃システムと有人艦載機のほとんど全てを失った。
現在二射目を発射すべくエネルギー充填が行われている。次の発射までは残り約三分。
貴君の使命はそのビーム砲が発射される前に、残された有人艦載機で試作機の許まで接近し、これを破壊することである。
攻撃目標までにはかなりの距離があり、通常兵器のスピードでは時間内の到達は困難であると考えられるが、
貴君の機体に搭載された高出力ブースターを駆使すれば任務の遂行は可能であると判断している。

健闘を祈る。